| MY NUMBER (The
Anthology) / GIRL
……そう、今から20年も前の話さ。NWBHM (ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘビー・メタル)の最中、駆け出しのツッパリだったオレは、バカやって、粋がったあげく、GIRLに手を出した。
変わりもんだと人は言うGIRLに、オレは夢中になった。デビューアルバム『SHEER GREED』はターンテーブルにのりっぱなし。昼も夜もなく、淫靡なmelodyを貪った。巧いわけでもねぇ。気が利いてるわけでもねぇ。だが、着ざらしのすっぴんのくせに妙に色っぽいGIRLだった。口はどうしようもねぇ、けどスタイルは悪かねぇ。この『声』と『体』のアンバランスさが奇妙なエロチシズムを生んでいたんだ。若かったオレはそのエロの毒にやられちまったってわけさ。
そのGIRLは3年くらいでどこかに消えちまった。2ndが出たなんて噂を聞いてあちこち捜し回ったっけ。ようやく10年ぶりに中古屋でビニール盤を見つけた途端、幻の3rdと合わせて初CD化なんてこともやってくれたよな。性の悪さは相変わらずのGIRLだった。
それからまた10年が過ぎた。オレは2人のガキの子持ち、もはやGIRLにうつつを抜かしてるなんて年じゃねぇ。そうさ、それは誰よりよく分かってるつもりだった。だけど町でアイツを見つけちまった。アイツの真新しいピンクのジャケットを見た途端、手が伸びてたんだ。
『私のこと、覚えてる?』
まるでガキだ。ドギマギしながら、手を振りほどき、逃げちまった。オレが外に出た途端、見知らぬ男がGIRLのジャケットを掴んでレジへと向かうのが見えた。
忘れられねぇ、忘れることなんてできやしねぇ。オレは探した。新宿・渋谷・下北沢、果ては新百合・池袋までさ。その度に店員は口を揃えてこういった。『いや、見かけないですね』……オレは夢でも見てたのか?
『夢じゃないわ』
町田で再び会ったGIRLはこういった。そうさ、青春の残骸を抱えた中年ってぇのも悪かない。今度はためらうことなく、オレはGIRLを抱いて外に出た……。
注意:GIRLはグループ名です。GIRL=女と読むと私の家庭が大変なことになりますので、ご容赦下さい。
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